2024-08-09
静岡県立大学とNMNの肥満に対する効果を発表
【研究報告】NMNの肥満に対する効果と、そのメカニズムを解明した論文を発表
いつも阿部養庵堂薬品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
株式会社阿部養庵堂薬品は静岡県立大学食品栄養科学部との共同研究で、NMNの肥満に対する有効性メカニズムを解明した論文を発表しました。
株式会社阿部養庵堂薬品は、2022年より静岡県立大学食品栄養科学部と「加齢による筋萎縮及び肥満に対するニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の効果とメカニズムの検証」をテーマに共同研究を進めておりました。このたび、NMNの肥満に対する有効性メカニズムを解明し、その研究成果についての論文が静岡県立大学より国際的な学術媒体「Science Direct」にて発表されました。
■ポイント
•NMNは、脂肪細胞におけるATGLと呼ばれる脂肪分解酵素の発現を増加させることにより、脂肪分解を高める。
•NMNは、脂肪細胞におけるSIRT1-AMPK経路を介してATGL発現量を増加。
•NMNは、マウスにおいて脂肪細胞の肥大を抑制することにより、高脂肪食摂取による肥満を改善。
【研究背景・内容】
世界中で問題となっている肥満は、体脂肪量が増加した状態ですが、脂肪の量だけでなく質も変化すると言われています。この変化は「糖尿病や高血圧、脂質異常症、生活習慣」が関わるさまざまな健康問題の引き金であると考えられていますが、その具体的な仕組みはまだ解明されていません。一方で、体内でNAD+という代謝に必要な物質になるNMNを摂取することが、糖尿病や肥満などの代謝の問題を改善する効果があることが報告されています。ただ、NMNが脂肪細胞にどのように作用するかは、まだ明らかになっていませんでした。
今回、伊美友紀子助教、細岡哲也准教授らは、NMNが脂肪細胞内でどのように働き肥満を防ぐ効果があるのか、その影響を調査しました。この研究によりNMNの有効性とメカニズムを検証することは、肥満によるさまざまな健康障害の改善に大きく貢献するものと期待されます。
【研究結果】
本研究では、培養脂肪細胞(3T3-L1)にNMNがどのような影響を与えるかを検証しました。 実験の結果、NMNはATGLと呼ばれる脂肪を分解する酵素の量を増やし、細胞内の脂肪分解を促進し、脂肪の蓄積を減らす効果があることが判明しました。さらに、NMNは長寿遺伝子として知られるSIRT1や代謝を調整するAMPKを活性化することで、ATGLの産生を高めることが示されました。
また、伊美助教らは、培養脂肪細胞に対する効果と一致して、マウスを用いた試験においても、 NMNが肥満改善効果を示すことを明らかとしました。高脂肪食の摂取により肥満化したマウス にNMNを投与すると、脂肪分解酵素ATGLが増加することにより皮下脂肪量が顕著に減少し、脂肪細胞のサイズも小さくなりました。
■論文
Nicotinamide mononucleotide induces lipolysis by regulating ATGL expression via the SIRT1-AMPK axis in adipocytes
『ニコチンアミドモノヌクレオチドは、脂肪細胞におけるSIRT1-AMPK経路を介してATGL発現を調節することにより脂肪分解を誘導する』
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405580823000572?via%3Dihub
【阿部養庵堂薬品 静岡県⽴⼤学⾷品栄養科学部 共同研究に関して】
静岡県⽴⼤学⾷品栄養科学部伊美友紀⼦助教と細岡哲也准教授は、加齢による筋⾁量減少「サルコペニア」のメカニズムに関する研究を通して、⾼齢者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)*の向上に寄与する研究に取り組んでいます。また同時に、肥満の脂肪組織において認められる変化に着目し、肥満が原因となる糖尿病などの生活習慣に関連する疾患に対する新しい治療法・予防法の開発を目標とした研究を進めています。
現在、弊社とは筋肉量減少ならびに生活習慣に関連する疾患に対するNMNの効果とそのメカニズムの解明を目指す共同研究を進めています。本共同研究は、NMNの有効性とメカニズムを検証することで、高齢者のQOL向上と健康増進に大きく貢献することを目指しております。
*QOL(クオリティ・オブ・ライフ):日本語では生活の質と訳され、生活の満足度や生きがいを意味します。高齢者では健康を保ち、自立して日常生活を送ることもQOLの維持に関係します。
細岡 哲也(Tetsuya Hosooka, M.D., Ph.D.)
静岡県立大学食品栄養科学部栄養生命科学科 栄養生理学研究室 准教授
神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学 客員准教授(兼任)
1994年 徳島大学 医学部医学科 卒業
1994年 須磨赤十字病院 神戸労災病院にて内科研修
1997年 神戸医療センター 内科
2002年 神戸大学大学院医学研究科(内科学専攻)博士課程修了(医学博士)
2007年 神戸大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科 COE研究員
2008年 ハーバード大学ベスイスラエルメディカルセンター(Barbara Kahn教授)博士研究員
2010年 神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学 特命助教、特定助教、助教
2019年 神戸大学医学部附属病院 内科学講座 講師
2019年 神戸大学大学院医学研究科 先進代謝疾患治療開発学 特命准教授
2021年 現職
【研究分野】代謝学、栄養学、糖尿病
■静岡県立大学食品栄養科学部栄養生命科学科 栄養生理学研究室
代表者 :細岡 哲也 准教授
所在地 :〒422-8526 静岡県静岡市駿河区谷田52-1
URL :https://www.nutriphysiol.com/
今後とも阿部養庵堂薬品をご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。