2023-02-22
不健康は数億円の損?「健康投資」の重要性と「NMN」の可能性 ―― ノルデステ×上念 司
40歳台のビジネスパーソンを想定したシミュレーションにおいて、「現役時代に健康で活躍し続けた人と、病気になって活躍できなかった人では、生涯年収で数千万円もの差がでる」という報告がある。
老いや病による体力低下でパフォーマンスが落ちれば、それだけ収入が減ってしまう可能性がある。この老いや病に対して、私たちはどのような対策を講じることができるのだろうか。一般的には食生活の改善や運動などが挙げられるが、それ以外に方法はないのだろうか。
1731年創業、健康業界の老舗で、注目の成分「NMN」(Nicotinamide mononucleotide:ニコチンアミドモノヌクレオチド)のパイオニアでもある株式会社ノルデステ代表取締役の阿部朋孝氏と、経済評論家の上念司氏が「老化現象によるパフォーマンス低下」というテーマで、投資の視点を絡めながら具体的な解決策について話し合った。
また、いつまでも若々しく高いパフォーマンスを維持するための有効な手段として注目を浴びる「NMN」についても触れている。いつまでも若々しく健康で、高いパフォーマンスを出し続けるためには、何をすべきなのだろうか? 人類の永遠の問いに迫る。
(取材・執筆・構成=丸山夏名美)
1. 不健康は数億円の損?
ノルデステ 阿部氏(以下、社名、敬称略):健康が大切であることは誰もが認識していると思いますが、それがどのくらいの価値を持っているのか、また、健康にどこまで投資をするべきなのかを考えることはあまりないでしょう。経済評論家という立場から、不健康による経済的損失と、健康でいるために対策を講じる「健康投資」についてお聞かせください。
経済評論家 上念氏(以下、肩書き、敬称略):まだ、一般的ではないかもしれませんが、私は「健康投資」をするかしないかで、ほとんどの人は金額にして「5,000万円以上の差がでる」と考えています。
人間は、心身の健康を資本として経済界で稼いでいます。健康をすべて失ってしまうと、働くことも稼ぐこともできません。そこで「健康=元本」、「稼ぎ=金利」と考えてみましょう。
人間を株に例えて考えてみましょう。東京証券取引所の平均利回り2.5%で計算すると、年収500万円の人の元本は2億円。つまり、年収250万円の人の元本は1億円なのです。投資の考え方とまったく同じですね。
阿部:つまり、年収1,000万円の人なら250万の4倍、つまり約4億円の価値があるということになりますね。数値化すると、そこまでインパクトがあるとは驚きです。運動が苦手で、できるだけサプリメントなどで済まそうと考えている私からすると、恐ろしい話です。
上念:私たちは常に自分の健康と向き合っており、身体に悪いことをすると元本が減っていくわけです。元気で働けなくなった分、収入という金利が減っていくという構造です。人の健康の価値は、お金に換算すると数億円の価値があるのです。
健康は元本であり、いかに重要であるか、より多くの人に認識していただきたいですね。
2. 老いに抗う。「人生500年」時代は来るのか
阿部:上念さんは、どのように健康維持をしているのでしょうか。また、健康に気を遣い始めたきっかけはありますか?
上念:幼いころから健康については敏感でした。小学生の時、先生に「コーラを飲んだら歯が溶ける」と言われてから怖くなって、それがウソだと分かっている現在になってもずっと飲めないでいますからね(笑)。
▽コメントする上念氏
社会人になってからしばらくは、健康への意識はそこまで高くありませんでした。30歳前後の時、塾の経営者をやっていたのですが、非常に仕事が忙しくて……。毎晩遅くまで仕事をして、その後で飲み食いをしていたら体重が激増し、健康診断でも悪い結果が出ました。それから体重を落として、健康に気を遣うようになりました。
運動も適度にするようにしています。例えば、ブラジリアン柔術は15年ほど続けていますし、最近ではシーカヤックなども週1回のペースでやっています。シーカヤックをやっていると、70代でも身体をバキバキに鍛えた人に出会うことがあります。
シーカヤックの良いところは身体だけでなく、「どうやったらバランスを取れるか」と頭も使うところです。身体だけでなく脳も動かすことは健康につながりますから、年齢を重ねても元気な方が多い印象がありますね。
阿部:上念さんは楽しみながら運動されていますが、私は運動が苦手です。毎年「今年は走る」とか「ジムに行く」とか決意していますが、忙しさにかまけて、結局、続いたことはありません。
運動嫌いでありながら、私は生涯現役のまま、120歳くらいまで生きたいと考えています。早稲田大学の元総長の故・西原春夫名誉教授は、94歳まで学者として現役を貫かれました。西原春夫名誉教授が「人生は箱根駅伝」とおっしゃられていたのが印象に残っています。どういうことかというと、60歳までが往路で、120歳までが復路。だから、60歳を超えたら復路なりの進み方をすればよいと。私も元気なまま、120歳まで歩んでいきたいですね。
年齢を重ねると「社会のお荷物」みたいに思われがちですが、私はその概念を覆したいですね。元気であれば、お荷物にはならないはずですから。
上念:「そんなに長く生きたくない」という人の多くは、「元気でいられない」ことを前提としていますよね。
阿部:そのとおりです。単なる寿命ではなく、健康寿命が伸びれば世界は変わります。「シンギュラリティ(技術的特異点)」の提唱者として知られるレイ・カーツワイル氏は、「2045年には人間のシンギュラリティが起こり、500歳まで生きられる可能性がある」と唱えています。
レイ・カーツワイル氏は、実際に何千億円もの投資をして、人体の構造やDNAを強化するといったことをしています。すでに「人生500年」時代、それも元気で長く生きられる時代が迫っているのかもしれません。
上念:自然の力だけでは、そこまでの寿命は実現できなくても、医学の力をもってすれば健康寿命を伸ばせるというのは興味がありますね。元気で長生きするためには、医学の力が必要です。今でさえ、世の中にワクチンがなかったら、10代でほとんどの人が亡くなってしまうといわれています。私たちは、医学に支えられて寿命を伸ばしているといえるでしょう。
3. 高パフォーマーの共通点とは
阿部:ずっと高いパフォーマンスを出し続ける人に、共通点はあると思いますか?
上念:身体と頭を両方とも動かしている人。あとは、独自のルールを持って継続している人だと思います。
経済や芸能界で活躍し続けている人って、頭ばかり使っているわけではなく、トライアスロンのようなハードな運動を趣味としている人が少なくありません。ハードな運動は、頭脳も精神も使いますから、健康に大きな影響を与えているのかもしれませんね。
いくら有効な健康法だったとしても、自分の正確やライフスタイルに合っていなければ続きません。自分で「これだけはやる!」とルールを決めて続けられる人は、心身が強くなるのだと思います。
4.「NMN」によるエイジングケア*の秘密
上念:最近、世界で注目を浴びているエイジングケア*成分に「NMN」(Nicotinamide mononucleotide:ニコチンアミドモノヌクレオチド)があります。
「NMN」は近年、エイジングケア*の分野ですが、「NMN」を使ったサプリメントは、阿部さんが代表取締役を勤めるノルデステで取り扱っていますね。
(画像提供=株式会社ノルデステ)
阿部:「NMN」は、酵母や酵素の研究から発見されたビタミンの親戚のような物質です。数十年前に発見されましたが、どんなものかは理解されていませんでした。「エイジングケア*として有効ではないか」と注目され始めたのは2015年ごろで、テレビ番組でも特集が組まれていましたね。
上念:私は、まさにそのころ「NMN」のサプリメントを飲用していたのですが、あまり変化を実感できなかった記憶があります。
阿部:もしかしたら、上念さんの入手した「NMN」のサプリメントは、残念ながら本物の成分と異なっていた可能性がありますね。
「BMC Medicine」という医学雑誌で北米の12企業の44製品、30種のハーブのサプリメントを抜き打ちでテストしたところ、代用や不純物がなく、ラベルどおりの内容の製品は2社だけだったという衝撃的な結果が得られたそうです。
私たちも正しい成分を手に入れるために多くの企業と交渉をしますが、その成分が本物である証拠を出してほしいと依頼すると明確な返答が得られないことがあります。つまり、彼らの手元にも本物であるエビデンスがない状況なのです。
▽コメントする阿部社長
上念:「ラベルどおりの内容の製品は2社だけだった」とは、衝撃ですね。以前、飲用していたサプリメントには、正しい成分が入っていなかったのかもしれませんね。次にNMNを選ぶ際は、信頼性をしっかり見極めたいです。
健康関連の商品で正しい成分が含まれているか否か、見極めるポイントはありますか?
阿部:絶対ではありませんが、やはり研究開発を真摯に続けており、実績がある企業の製品のほうが信頼性は高いでしょう。
実績の少ない企業のものが「すべて正確ではない内容物の製品だ」とは言いません。しかし、サプリメントの製造業者が「本物だ」と思っていても、素材入手時に悪意ある業者にだまされている可能性があるのです。
私たちは異なる成分が混じらないよう、必ずエビデンスを得るようにしています。「エイジングケア*成分が入っていると思って購入したら、ただの粉でした」となると信頼は損なわれます。正当な成分を入手するためにエビデンスを得るのは大変ですが、1731年の創業以来築いてきた経験と知識を活かし、真にお客様の健康を支える研究開発を続けていきたいです。
上念:なるほど。製造業者自身も騙されてしまっているケースがあると。大変勉強になりました。本日はありがとうございました。
阿部:こちらこそ、ありがとうございました。
* 年齢により不足しがちな栄養素を補う